千葉大学教育学部社会科教育戸田准教授をお訪ねして
2009年7月10日(金)、千葉大学の戸田善治先生の研究室を訪問し、千葉大学教育学部附属学校で行われている法教育について伺ってまいりました。大学院人文社会科学研究科、公共研究専攻公共教育博士課程の三浦朋子さんも同席してくださいました。
現在の千葉大学での法教育の状況
平成17年度に報告書を出して、それまでの一連の法教育に区切りをつけました。というのは、裁判を授業で扱うといったものには高度の法学的素養が必要であり、法曹専門家の協力が不可欠です。それは日弁連などにお任せすることにし、社会科教員単独でもできる法教育授業とはどういったものかを考えています。
「法を見れば社会がわかる、社会を見れば法がわかる」ということがありますが、制度は全て法に行き着きます。ということは地理や歴史、公民などの既存のカリキュラムの中にもう全て材料はあるということです。そこに目をつけるノウハウがあれば授業ができ、しかもより一般化できるだろうと考えました。
その成果は千葉大学教育学部と附属学校の共著で『社会が見えてくる”法”教材の開発』明治図書(2008年)にまとめられています。
附属小学校
3~6年生の社会科の授業で制度を学ぶ中で法を扱っています。
附属中学校
上述の地理、歴史、公民で扱うほか、総合の時間で法を学ぶコースを設けています。これは1~3年生までの縦割りゼミ制で、いくつかのコースから自分の希望のものを選びます。「法と共生」をテーマにしたゼミが6月~12月に組まれ、先日は千葉地裁の見学に行きました。秋には模擬裁判をしたり、法務省の資料館を見学に行く予定です。12月には全てのゼミが体育館で保護者向けに発表会を行います。
今こういった活動に参加している子ども達の中には、ちょうど附属小学校時代に法教育実験授業に参加した子ども達も含まれます。
大学生向け
千葉大学は教員養成をしていますので、大学生への授業でも法教育をしています。裁判員制度の論議の場面を再現し、人の話を「聞く」重要性を説いています。
おわりに
ある教育内容が根付くというのは、授業時数の制約から、それを教えることの意義を積極的に見出さないとなかなか難しいことです。
法を目的にしないで、内容ではなく視点の一つとして捉えれば社会科になり、社会科教員が教えることができます。このように考えるのは千葉大学教育学部の特徴かもしれません。
続いて、実践例として、千葉大学教育学部附属中学校 「法と共生」ゼミの様子をお伝えします。
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