県立千葉高等学校の取り組み②

〈準備活動の実際〉

準備活動は授業時間では行いません。生徒が空き時間を使って自分たちで行います。

①「戦略カード」を作成する

論題に関する資料を集め、あらゆることをカードに書きとめます。わかりやすい見出しをつけ、整理記号も工夫してつけます。

②立論の草稿の作成

戦略カードをもとに、立論の草稿を作ります。

③想定問答集の作成

相手の立論を予測し、質問内容を考え、また相手の質問を予測し、答弁の内容を考えます。相手に反駁する内容も考えます。

④チーム内での練習試合と当日役割分担の決定

練習は相手に声が聞こえないように小声で、立論草稿や資料も外部に漏れないようにします。チームのメンバーをよく考えて、当日は全員が発言するようにします。

⑤フローシートの取り方の練習

議論はぼうっと聞いていてもわかるようにはならないため、試合では議論を肯定否定の大きく2つに分けてフローシートと呼ばれるノートをとります。フォーマットされた用紙は教諭が用意してあり、審判も含めた全ての参加者がフローシートを作成し、提出します。

・この準備活動に、各班平均24時間ほどかけるそうです。部活動を休ませてもらったり、班会合を最終下校までするのはもちろん、休日も班員の家へ集合したり、生徒達は懸命に準備をするそうです。

・藤井先生は2年生達に上級生の話を聞きに行くように勧めているそうです。千葉高校に着任して、生徒達の縦のつながりが薄いように感じ、上級生との関係作りにもこの授業を活用できたらいいとお考えです。

〈ディベート当日〉

授業1時間に1試合、連続5時間のディベートを実施します。実際に試合を見ると、立論も質疑もスピード感があり、聞きながら書くのが大変でフローシートを取りきれないぐらいでした。1分間の各準備時間には、生徒同士話し合う声がさざ波のように起こりますが、タイマーを持った時計係の合図に司会が声をかけるとさっと集中します。資料が豊富に使われ、あっという間の50分間でした。

〈試合後〉

①振り返り

聴衆である生徒は、論題を与えられた班員ほど論題に対して知識や資料を持っているわけではないので、肯定側否定側双方のプリント資料(「日本の論点」が多い)を配布し、生徒達に試合から離れた判断も考えられることを学ばせます。

②フィードバック

生徒がつけた点数の平均点をクラスで発表し、両チームに生徒からのアドバイスを渡します。

③レポート

審判の講評や聴衆からのアドバイスを受けて、自分が行った論題について最終的な意思決定(論題の解決策)のレポートを作成します。

④アンケート実施

アンケートを行い、ディベート前後の自分の意見の変容、反省や感想、ディベート授業への提案、論題批判などを書かせます。この中で、クラスのベストディベーターは誰だと思うかも挙げてもらいます。

⑤模範ディベートの公開

アンケートから各クラスのベストディベーターを選出し、「ドリームチーム」を編成して文化祭や放課後等に模範ディベートを公開します。下級生へのよい刺激になる上に、PTA等への公開は開かれた学校づくりの一環ともなります。

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