さいたま市立蓮沼小学校 研究発表会②(分科会編)

さいたま市立蓮沼小学校 研究発表会 その1(授業編)からの続き

0814:45~15:10、公開授業学級毎に分科会が開かれ、研究協議を行ないました。法教育の分科会は、参加者が多数だったため、予定されていた6年3組の教室に入りきれず、授業に使ったふれあいルームでそのまま行なわれました。

授業者側から

担任:「最終的には、テーマについて自分はどうするかという自己決定に結びつけることが重要ですが、今日の話し合いではそこまで行っていません。今日の時点では、話し合いの感想でいいことにしました。」
弁護士:「埼玉弁護士会はここ3年ほど法教育に関わっています。学校側の負担があるので現在は蓮沼小学校のみですが、今日お声を掛けていただければ他の学校でも検討したく、よろしくお願いします。小学校はあまり実践例がないので手探り状態の実践です。子どもと一緒に悩み、考えるというところに意味があると考えています。他の人のことを考えることで、人権思想にも結びつきます。」

質疑応答

・テーマを選ぶ視点は何ですか?
 →児童のアンケート結果から、切実なものを話しやすさやクラスの実情と照らし合わせて教師がピックアップしました。(担任)

・弁護士さんは1人ではいけませんか?2人だと互いに遠慮があるように見えますが。また、事前打ち合わせはしましたか?
 →1人だと子どもの意識がそちらへ集中して、弁護士に頼り切りになってしまうことを避けるために2人にしています。座る位置も弁護士同士をわざと離して、児童の間に入ってもらっています。
教師と弁護士会の打ち合わせは1ヶ月に1回、弁護士会で午後6時半から1~1時間半ぐらい話し合いをしました。何かあればメーリングリストを利用して連絡を取っています。(担任)
 →弁護士は必ずしも2人必要というわけでもなくて、1人でもいいと思います。参加できる弁護士の人数にもよりますし、今日は12人参加したので1グループ2人ずつになりました。1人の視点では思いつかないことを補ってもらえる点はいいと思いますが、どちらがいいとも言えません。弁護士会の法教育グループは十数人なので、グループに1人になる場合もあります。(弁護士)

・きまりがなぜあるか・きまりを守る意識なども法教育であると思いますが、発達段階に応じた指導という点はいかがですか?
 →どの発達段階でどう、ということは私もわかりません。きまりを守るだけでなく、きまりをつくる・変えるということも大事にしており、小学5~6年生ならできるかと思います。(弁護士)

・感想ですが、「話し合って、やってみて、ダメならまた話し合えばいい」という弁護士さんのまとめの言葉がありましたが、民主主義の大切さが児童に伝わったと思います。まさに法教育そのものであると感じ、よかったと思いました。

・いじめについての問題は、学級全員で話し合わなければならない問題です。児童個人個人の解決ではなく、学級全体でどうするかに期待しています。事後指導はどうされますか?
 →クラス全員で話し合いをします。今日の話し合いを踏まえ、次回はそれぞれの話し合いの解決策について聞くつもりです。(担任)
 →注意するといじめている子の仕返しが怖いとか、またその子に対し逆いじめもあるので、誰がということが特定されないよう、クラス全体等での話し合いを、担任の先生に相談してはどうかと言いました。(弁護士)

分科会では短時間にもかかわらず多くの質問が出て、参加者の皆さんの熱意を感じました。
 子ども達の感想はどうだったでしょうか。後日、6年3組の児童が意見・感想を書いたものをここでご紹介しましょう。

話し合って、実際に実行してみたい・自分が納得した解決法

1班 クラスの人が無視されたり嫌なことをされている時は?
・リーダー格相手でも3~4人で注意し、時間をかけてだんだん仲良くしていけばいい。
・リーダー格の仲間からも注意する。
・注意することや話しかけなどを積極的に行いたい。

2班 友達との関係~みんなと仲良くするには~
・みんなで遊ぶことはいいと思う。遊びを決める時もみんなで話し合いができる。
・自分から声かけできるほうなので、友達に優しく答えたり接していく。
・係でも友達との交流深めたい。係を通じてみんなとのすき間をなくすのはいいこと。
・あいさつは実行しやすいと思う。

3班 なぜ学校にゲームやお金を持ってきてはいけないのか
・学級会でのアンケートから学年→学校→市・県の人に(アンケートを)取っていく。
・納得してもらう理由を考えるのは難しそう。
・ゲームを持ってきて壊した場合はどう責任とるかが理解できた。
・持ってくることの問題点を改善しなければいけないという考えが出てきた。

4班 中学について
・上下関係も友達関係もあいさつから始めればいい。→そこから関係を広げる。
・相手の良いところを見つける。

5班 通学班について
・今の通学班でも良いと思った。(友達が出した時間を地域ごとに変えて登校する案は具体的で良い)
・色々時間を変えるとお家の都合などあるのでそのままでも良い。
・通学班がないと色々問題があるので通学班があった方が良い。
・それぞれ時間にあった高学年と低学年で一緒に登校する案がでた。

6班 学力が違うのに同じ授業をすること
・学力を競うこともあるが、教えることも優しさが身に付くから良いとも思う。
・朝の時間に職員室に行って教えてもらう。実行できたらしてみたい。
・教え合いをする雰囲気になればいい。
・先に学べるのだから、分かる人は積極的に教えれば良い。

話し合ってみての感想

・緊張したけどいい話し合いができた。 
・弁護士さんの考えを聞いて、最初の自分の考えがだんだん変わってきたので、話し合って良かった。 
・いい解決策は出てこなかったけど、疑問が出たらそれを一つずつ解決していくのが面白かった。 
・話し合いが止まった時に弁護士さんがフォローしてくれたので話しやすかった。二つ目の柱も話したかった。 
・色んな意見が出てきて少し解決したし、考える範囲が広がって良かった。 
・自分の心配事が解決できて良かった。 
・ゲームを持ってくる良いところ・悪いところが分かって良かった。 
・弁護士さんが「それがこうなると、こんな問題点が出てくるね」と教えてくれたので、次々意見を述べねばならず大変でした。 
・子供と大人の視点のちがいに気付かされた。この機会があって良かった。 
・やはり一人より数人で話し合うと良い意見が出てくる。

さいたま市立蓮沼小学校 研究発表会 その3(シンポジウム編)へ続く

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