高校生模擬裁判選手権への道 番外編

 第4回高校生模擬裁判選手権に初出場した千葉県立東葛飾高等学校のチームが、参加者の感想をメールで寄せてくれました。生徒の実感をメールの原文のまま、お伝えします。

3年生 弁護人役
 
 今回の模擬裁判はただ裁判の勉強になっただけでなく、論理的に説明することの難しさも学べました。私たちは弁護側としてあえて無罪でなく傷害罪を主張したのですが、ストーリーが複雑で、いかにしてわかりやすく、誤解のないように説明するかで非常に苦労しました。既存の事物から色々なことを考えてどんなに良いストーリーをつくっても相手に伝わらなくては意味がないことを深く感じました。また、支援弁護士さんからは現職の弁護士さんならではのお話や弁護士のいる意味など本当に貴重なお話をしていただき、僕にとってかけがえのない経験となりました。お世話になった支援弁護士の方々や関係者のみなさま本当にありがとうございました。

3年生 被告人役

今回模擬裁判選手権に参加してみて、思ったこと、考えさせられたことは3点あります。

1点目は、自分の担当した係に関してですが、証人や被告人は自分の経験していない事実を経験したものとして語らなければならないので、とても難しい役職だということです。特に、未知の相手からの質問は予想できないので、自分の覚え込んだ調書に矛盾しないように回答しなければならず、かつ意図がわかりにくい質問をしてくるものもあったので、大変苦労しました。
2点目は、一つの事実が様々に解釈可能なことです。証拠を検討していく中で、一つの証拠が、解釈の仕方によって双方に有利になることを改めて実感しました。だからこそ、裁判で互いに争うのだということも。
3点目は、裁判は「わかりやすい」 ものでなければならないということです。
どんなに自分の中で論理が固まっていても、それを表現して、裁判官や裁判員に「わかりやすく」伝えなければ、裁判では意味がありません。裁判員制度が普及しつつある今、その傾向は強まっているでしょうから、僕らが将来、裁判を手掛けることになったら「わかりやすい」裁判を心がけなければならないと思いました。

今回の選手権を通して、法律に携わる方々の実際を知ることもできました。これからの将来を考える上で、本当に貴重な経験ができたと思います。このような機会を提供して戴いた関係の方々に御礼申し上げます。ありがとうございました。

3年生 検察官役

今回の模擬裁判選手権では与えられた資料をもとに自分たちの主張を考え、法廷で立証していくというとても難しい課題が課せられ、大変なこともありましたが非常にいい経験になりました。
支援弁護士さんもとてもフレンドリーな方で、裁判に関してほとんど知らない私たちに丁寧に指導してくださいました。
普通の高校生活ではまず得られない体験や貴重なお話もいただけました。
非常にありがたかったです。
大会に向けては事前に何日間も準備に費やし、壁にぶつかって大変な時期もありました。
そのたびに自分たちで検討を重ね、大会当日には自信を持って望むことができました。
しかし一方で実際に試合をし、結果を見てみると今一つ自分たちがやってきたことと大会側が求めていることが噛み合っていないという印象を受けたのも事実です。
大会で優勝することを目的にプレゼン重視で活動するのか。
それとも本物の裁判と同様に中身の完成度で勝負に出るのか。
来年以降も続けるのならばこのことを検討していく必要性を感じました。

3年生 検察官役

この度は、「裁判を知る」という目的で模擬裁判選手権に参加させていただきました。
昨年度の自由研究で司法に興味を持ち、その仲間がいたこともあり興味本位で参加しました。
実際の法曹が行うような方法で自分たちで裁判を組み立てていくことには、「どのようにしたら被告人を裁けるのか」「どのようにしたら主張したいことを積み立てられるのか」等、論理、ディベート能力、プレゼンテーションと多くの点において悩まされることがありました。
しかし、この能力・経験は、どのような世界へ入っても必要な能力であるので、他校との対決、支援弁護士とのふれあい等は大きなものになったと思います。
私は法曹の道に進む予定はありませんが、この企画で「裁判について」「法曹について」さらに興味を持ちました。
今後は一つの趣味として法について深めていき、裁判員に選ばれたとき(または無いと思いますが当事者になったとき)、そして自分が進む社会でこの経験を生かして生きたいと思います。

3年生 証人役

支援弁護士の方々は非常に気さくで、様々なことを教えてくださったし、実際の裁判員裁判を見て、弁護士の方から解説を頂けたのもいい経験だった。
私は弁護士を目指しているが、今回の経験が自分にとってプラスになることは間違いない。
いつか行き詰まったときも、支援弁護士の方々のお話を思い出して頑張ろうと思う。

1年生 検察官役

以前から法曹に興味があり、このたび模擬裁判選手権に参加しました。実体験を通じて、裁判についてより深く知ることができた非常に貴重な経験でした。
私は検察側だったのですが、資料をもらったときは、本当にこれで裁判ができるのかと不安でした。
すごく曖昧な事件で何度資料を読んでも謎は深まるばかりだったのです。
そんな中でしたが、何度も話し合い、いろんな人の意見を聞き、それをまとめることによって、なんとか論告を作ることができました。
冒頭陳述、証人尋問、被告人質問、論告と手段は違えど、みんなで協力して同じことを立証するといった体験ができてとてもよかったです。

力不足で迷惑もたくさんかけたかと思うのですが、参加して本当によかったです。
将来の夢も漠然としていたものが明確になりました。
この場をお借りしますが、お世話になった弁護士のみなさん、先生、そして一緒に戦った東葛の検察側・弁護側のみなさん…本当に素晴らしい人達に出会いました。長かったようで短い間、ありがとうございました!!

1年生 弁護人役

 私が考えた証人への反対尋問は、裁判官や裁判員の皆さんにわかるように、うまく証人を誘導する、というものでした。そこには証人に言い訳をさせてはいけない、という大前提など難しいことも多くありました。しかし、支援弁護士の皆さんから教えていただいた反対尋問のコツを参考に、何とか自分たちの力で作り上げることができました。 本番は予想もしなかった相手チームからの異議に戸惑ったこともありましたが、全体的には、自分たちの引き出したいことをうまく引き出せていたと思います。
 私たちは賞をとることはできませんでした。しかしそれよりも、とても貴重な経験をさせていただいたことに感謝したいと思います。プロの弁護士の方からご指導をいただいて、実際の法廷で前に出て話すことができました。この経験は、私自身の将来の為になると信じています。今回、模擬裁判選手権に参加することができて、本当に良かったです。

1年生 弁護人役

5月から準備をしてきて、部活や勉強意外に時間を割かないといけなくなって大変でした。裁判をやるにあたって、細かいルールも知らず手探りでした。3年生の指示通りに動くので精一杯でした。3年生の方が大変なはずなのに、負担を軽減できなくて後ろめたくて3年生に感謝です。そして、原案を作り上げていると、各自が独自の視点で事件を整理していて、まとめるのは難しかったけど、とても楽しい時間でした。ただ仕事の割り振りで自分の仕事がなくなると急にやる気がなくなって、気持ちを整理するのが大変でした。資料作りの手伝いぐらいしかやれず、横で読む練習をしている人がうらやましかったのを覚えています。
本番の日に即席チームを作ることになったときは嬉しさもありましたが不安と拮抗していました。裁判は全てアドリブに近く何を言ったのかよく覚えていないほど緊張しました。
閉会式で褒められたことや表彰されたことは誇らしいかったけどチームは負けてしまい複雑な気持ちでした。来年こそ勝利したいです。

 

東葛飾高校チーム(12名)[敬称略・五十音順]
小川 款、石井里昴、伊藤駿利、沼畑智裕、二神拓也、岡村拓究、加賀雄大、司馬里佳、
松原愛美、松山怜史、安 祐稀、横芝杏奈
担当教諭
長束倫夫先生
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