横浜弁護士会サマースクール2010(その1) 

 2010年8月2日(月)9:00~16:00、横浜弁護士会主催の「サマースクール2010」が横浜弁護士会館において開催されました。約60名の中学生高校生が、6班に分かれて、午前中は法律家の働く施設見学、午後は模擬裁判に取り組みました。
 今回のサマースクールは4回目となるそうですが、たいへんな人気で、募集開始早々に定員に達し、結局、70名を超える方にお断りをしなければならなかったほどだそうです。

入学式

〈理事者挨拶〉

横浜弁護士会副会長 島崎友樹先生
今日のサマースクールでは初めての経験がたくさんあると思います。これをきっかけに、自由・平等・正義といったものを是非考えてみてください。人から教わるのではなく自分の頭で考えて行動できるようになってほしいと思っています。

〈校長挨拶〉

弁護士 飯田学史先生
今日の午前中は、法律家のプロの現場を見てもらいます。プロの仕事には全てのことに理由があるのだそうです。たとえば、法廷内の机や椅子の配置ひとつとってみても、きちんと意味があります。人に尋ねるだけではなくて、見て、なぜこうなっているのか自分で考えてみることが大切です。
午後は模擬裁判をみんなで演じてもらい、その後に評議をします。答えは用意されていません。結論はどちらでも良い、なぜそう考えたかという理由が大切なのです。
今日は、いろいろ見て聞いて、考える一日にしてほしいと思います。

導入授業

担任から、まず、今日一日の流れの説明がありました。また、午後の模擬裁判の罪名である現住建造物放火未遂について、わかりやすく「放火」「現住建造物」「未遂」に分けて説明を受けました。

〈自己紹介〉

組ごとに集まって、まずは簡単な自己紹介をしました。裁判官・検察官・弁護人の役割によってクラス分けされており、1クラス10名の生徒に対し、担任と副担任として弁護士の先生が付いています。
検察官チームの生徒に、検察官役を希望した理由は?と聞くと、「学校に女性の検事さんが来てくれてかっこよくて憧れたから。」「犯人をかばうより、追及してみたい」といった声が聞かれました。

法律家の働く施設見学会

〈検察庁見学〉

検察庁 横浜地方検察庁は弁護士会館のすぐ裏手です。検察庁では、まず、取調室を見学しました。休日などに実際に使われているところだそうです。ここで、検事さんから事件発生から裁判までの流れの説明がありました。また、本物の防弾チョッキや手錠などを実際に手にとって見せてもらえました。
次に、証拠品倉庫を見学し、犯罪に使われた道具や、偽造品などを見せていただきました。記録倉庫には、膨大な量の事件記録が棚に整然と並んでいました。

〈裁判所見学〉

裁判所 検察庁の隣にある横浜地方裁判所に移動し、裁判員候補者として呼ばれたという設定で裁判所内を歩いてみます。
まず、裁判所裁判員候補者の待機室に入り、説明を受けました。横浜地裁の廊下には、裁判員候補者がどの部屋に進めばいいかわかりやすいように、グループごとに色分けされたラインが引いてあります。
「A組の皆さんは質問手続室に進んで下さい。」というアナウンスがあり、ラインに従って質問手続室へと移動しました。ここで裁判員候補者は、裁判長から質問を受けます。質問手続には検察官・弁護人も同席するので、大きな楕円形のテーブルが置いてありました。

裁判員裁判用法廷(101号法廷)
法廷 次はいよいよ法廷見学です。横浜地裁で一番大きな法廷を見学させてもらいました。裁判員裁判用の法廷なので、法壇には椅子が9つ並んでいて、壁や机にはモニターが設置されていました。法壇は、被告人、弁護人、検察官の席や傍聴席より階段2段分高くなっていました。
弁護人と検察官の席が法壇に向かって右側か左側かは、法廷によって違うそうです。それはなぜでしょうか。理由は、入り口との位置関係にあるそうです。被告人の護送の関係で護送用の通路に近い方(一般の傍聴人の出入り口と反対側)が弁護人の席になるということです。
最後に、特別に、本物の法服を着て記念撮影をさせてもらえました。報道機関等を除けば普段は法廷内で写真を撮ることは許されませんし、法服を着られることもありませんから、とても貴重な体験です。みんな代わる代わる写真を撮りあっていました。

〈弁護士会館〉

弁護士会館 弁護士会館に戻ってきました。
・弁護士の仕事
 弁護士の仕事には、大きく分けて、刑事事件の弁護人と民事事件の代理人という2種類があるということで、それぞれについて簡単に説明がありました。弁護士という職業は、法的サービスを提供してお客さんから直接お金をもらう、いわば自営業ですが、公的な側面もあり、公益的な活動をたくさんやっているそうです。
「弁護士さんは儲かるの?」という質問には、「仕事の仕方によるし、一概には言えない。ただ、お金をもらった上に『ありがとう』と感謝される仕事であり、やりがいのある仕事であることは間違いない。」とのことでした。

・弁護士会の仕事
法律相談の紹介や、当番弁護士の依頼事務等の仕事をしているそうです。
横浜弁護士会綜合法律相談センターのマスコットキャラクターである、うさぎの「みみん」とレッサーパンダの「のるん」のグッズをお土産にいただけました。

昼休み

組ごとに輪になって、先生も加わっておしゃべりをしながら昼食です。食事が終わると、午後の模擬裁判に向けて、早々に作戦会議が始まっていました。

横浜弁護士会サマースクール2010(その2)へ続く

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