法教育推進協議会傍聴録(第22回)

 2010年4月20日(火)14:00から、法務省会議室で第22回法教育推進協議会が開かれました。
今回の議案は、法教育普及検討部会を新たに設けることと「法教育に関する懸賞論文コンクール」の実施についてです。以下、論文コンクールの実施規程案、応募要領等などより適宜引用させていただきながらお伝えします。

〈法務省より説明〉

 懸賞論文コンクールの趣旨は、「法教育の更なる普及・発展のためには、広く法教育への理解・関心を高めることが重要であるとの観点から、法教育に関する論文の募集を行い、優れた論文に対して賞状及び賞金を贈呈する」というものです。今回のテーマは、「学校現場において法教育を普及させるための方策について」です。
 昨年6月の協議会で取り上げられた3つの法教育普及推進の取り組みのうち、「教材の利用状況調査」はまだ教材使用が始まって間もないので、おって行います。「小学校教材の作成」は一応終わったということで、もう一つの試みとして行うものです。他省では防衛省が論文コンクールを行なっています。法教育普及検討部会を設置し、そこでさらに検討していただきます。

〈大村座長より〉

 部会は協議会の開催要領により創れることになっています。法教育普及のアイデアはその他にもあるでしょうから、論文コンクールを含み、部会で普及を検討するということだと理解します。実施規定に従うと、論文コンクールについては部会でいろいろ決めるはずですが、今回は最初なので今日ここで検討します。では具体的に質問・ご意見などお願いします。

〈募集開始時期と媒体〉

質問:コンクール成功の鍵はどれだけ応募があるかにかかっていますが、募集開始時期と募集媒体は?
回答:募集はコンクール実施規程が決まり次第、開始します。方法は法務省、法テラス、日本弁護士連合会、商事法務研究会のホームページ、法学系・教育系雑誌、学校の先生の会合の際チラシを撒くなどを考えています。法科大学院、法学・教育系大学もよろしくお願いします。(法務省)
意見:文部科学省の教科調査官にでも一言伝えておくとよいでしょう。文科省の雑誌に広告を載せることになるし、教育委員会などを通すなら必要でしょう。
意見:大学に配られるのはポスターですか?掲示できるものがあるほうがいいです。
回答:ポスターが無理でも、見栄えのいいものをと考えます。

〈規模について〉

 
 どのぐらい応募があるか予測がつかないという法務省の説明に、座長から民間の法学系論文は2桁という数字が出されました。

〈後援者は?〉

意見:日本弁護士連合会、日本司法書士会連合会、最高裁判所にも後援をお願いしたらどうですか。参加賞は考えませんか。

〈論文の分量やテーマについて〉

意見:長過ぎないほうが取り組みやすいので、今回の企画(4000字~6400字)もいいと思います。
意見:テーマは1回目としてふさわしいと思います。寄せられたアイデアを活かし、次につなげることができればいいと思います。

〈審査について〉

 賞の設定については、予算からするとこの範囲内ということで、運用は様子をみて部会で判断をし、提案をいただくということで、と座長がまとめました。弁護士の論文と学校の先生からのものを同じ基準で評価できるのか、グルーピングをすることなども考えられるということでした。

〈普及検討部会のメンバー〉

意見:法教育普及検討部会には日本司法書士会連合会もお入りいただくほうがいいでしょう。→入ることになりました。
質問:部会構成員を同じ団体内で融通することはできますか?
回答:論文の採点者をはっきりさせておくという趣旨で名簿を作りました。今回の名簿は今日のための暫定的なものなので、まだ変更はできます。部会に協議会委員が出席することはできます。(法務省)
意見:日本弁護士連合会では多くの弁護士に法教育推進協議会に関わってもらいたいので、部会には私とは違う人が出席します。

〈著作権と選外論文の扱いについて〉

 入賞した論文については著作権を放棄してもらうことにしますが、その趣旨は法教育推進協議会が当面ホームページに載せるなど、自由に使えるようにというところにあり、普及のためには通常の学会の論文取り扱いと同じように、執筆者と協議会の両方に著作権があるといいということになりました。

〈取材を終えて〉

 懸賞論文コンクールは法教育の普及にとって二つの意味をもつと感じました。
一つは論文コンクールを行なうことが、いろいろな方々に法教育について考え、それを発表してもらう機会になることです。それによって教育現場が活性化されることが期待されます。もう一つは論文のテーマにより、例えば今回のように「学校現場において法教育を普及させるための方策」ならば、普及のための具体的なアイデアが集まり、その実現を検討する道が開かれるという面からも意義があるといえます。後者の意味の場合、たとえ応募論文が多くはなくても、優れたアイデアが寄せられればコンクールの意義は大きいことになるでしょう。
 そのためには新設される法教育普及検討部会の活動に期待が寄せられます。座長がおっしゃていたように、この部会の活動は論文コンクールの企画運営にとどまらず、さらなる法教育の普及を検討する契機となるでしょう。

法教育懸賞論文コンクールの詳細はこちらをご覧ください。

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