日本弁護士連合会 市民のための法教育委員会主催 法教育教員セミナー

 2013年3月16日(土)13:00~17:00、日本弁護士連合会市民のための法教育委員会主催の法教育教員セミナーが弁護士会館会議室で開催されました。「法教育と学習指導要領」についての講演の後、参加した小中学校の教員が4つのグループに分かれ、法教育学習指導案を弁護士とともに作成するという取り組みでした。グループワークの成果は果たして?

〈プログラム〉

13:05~13:25 講演「法教育と学習指導要領」
13:35~15:45 授業案作成グループワーク
         小学校:「なにが公平?不公平?」(配分的正義)
         中学校:「どうやってもめ事を解決すればいいの?」(私的紛争解決)
15:55~16:20 グループワーク報告と全体意見交換
16:20~17:00 日弁連モデル教材の解説とDVD上映

1 講演「法教育と学習指導要領」

 橋本康弘 福井大学教育地域科学部准教授

〈物事の多面性といろいろな見方〉

 (最初に、だまし絵を3例提示し、)これらはハワイ大学のジョン・バーカイ先生が法教育の説明によく使われるもので、1つのものごとには多面性があり、人によって見方が違うことを示しています。いろいろな見方があることを理解することが、法教育の基本的エッセンスであり、この教材はそれを言い当てていると思います。

〈対立関係を「見える化」するトゥールミン図式〉

 対立関係を、法的考え方を使って解決しようということが、法教育の1つの考え方です。その際、対立関係を整理するために有効なのがトゥールミン図式と呼ばれるものです。トゥールミン図式の基本形は、左側に「事実(データ)」を書いて、右側に「主張」を書く。その下に主張の「理由付け」と、さらにその下に「理由の根拠」を書くというものです。
母親に日記を「盗み読み」された中学生と母親の対立を、トゥールミン図式を使って目に見えるように図式化してみましょう。

事実:母親が息子の日記を「盗み読み」した
母親の主張:母親が日記を「盗み読み」するのには賛成である
息子の主張:母親が日記を「盗み読み」するのには反対である
母親の主張の理由:母親には子どもを保護・監督する責任がある
 理由の根拠:民法第820条。親権を行う者は子を監護する権利を有し義務を負う
息子の主張の理由:個人が秘密にしておきたいことを母親が知ってしまうことに嫌悪感を覚える。人間不信になる。など
 理由の根拠:憲法13条。プライバシーの権利の保護

 

 理由を述べてもらうことも大事ですが、その理由の根拠がより大事で、法教育において大切なことです。「親の監護権」ならびに「プライバシー権」は認められます。
この対立を解決する思考の流れとしては、「親の監護権」が認められる中で、子どものプライバシーはどこまで「制約」されるのか、を考えます。「制約」については、「制約目的の正当性」と「制約手段の相当性」で考えます。この場合は、子どもの健全育成という目的の正当性のもと、机をこじ開けて読んだわけではなく、たまたま少し開いていた机に入っていたノートを見た(手段の相当性)ということです。

〈法教育の4つの特徴〉

 法教育の定義についてはご存知の先生方も多いと思いますが、その特徴は、「法律専門家でない人が、法や司法制度、これらの基礎になっている価値・原則の理解を重視する教育」「法的な思考方法を身につけさせる(トゥールミン図式など)教育」「暗記型ではなく思考型(答えが1つではなくいろいろな見方ができる)の教育」「法的な参加を促進する(裁判員制度を含め)教育」の4つと言われています。

〈新学習指導要領の趣旨と法教育〉

 法教育が新学習指導要領で重視されるに至った背景は、2000年のEU首脳会議のリスボン戦略で、「知識基盤社会」の時代を担う子どもたちに必要な能力が「キー・コンピテンシー」として定義されたことがきっかけです。「キー・コンピテンシー」のうち、「A:異質な集団で交流する」際の「紛争を処理し、解決する能力」と、「B:自立的に活動する」ために必要な「自らの権利、利害、限界やニーズを表明する」能力が新学習指導要領に取り入れられた形になります。それらが法教育で育まれる能力といえるからです。また、新学習指導要領には「言語活動の充実」もありますが、「答えが1つでない議論型の教育」である法教育はそれにマッチしているという面もあります。
 新学習指導要領では、法教育はおもに社会科と道徳、特別活動で扱われます。(小学校では3・4年生と6年生の社会、中学校は社会科公民的分野、高等学校は現代社会と政治・経済の「内容の取扱い」の説明がありましたが、省略します。)
小学校道徳の「モラルジレンマ」を使った教材について、法教育の教材例としていいと思うので、説明します。これは、

アルメニア大地震で負傷した兄は、慢性の持病もあり、次第に衰弱し、『もう自分は駄目だ』というようになった。みかねた妹は、兄を台車に乗せて病院まで連れて行ったが、治療を待つ数百人の行列ができていた。妹は思わず、『兄が35日ぶりの瓦礫の下から救助された』と医師に嘘をついてしまった。医師は驚いて、兄を最優先で治療し、新聞には『奇跡の生還』という記事が掲載されたが、救出現場を見た人間が誰もいないため疑惑が寄せられた。医師は『瓦礫の下に35日間いてもおかしくないほどに衰弱していた』と言っている。(当日配布の資料より)

 

というものです。道徳で重視される価値は、「兄弟愛」「生命の大切さ」です。一方で、法教育で重視される価値は、「配分的正義」「生命身体権」と考えられます。このように道徳で使われている教材を、法教育教材として利用することも可能といえると思います。道徳のモラルジレンマの教材と言われているものを、法教育の視点からも見直していただければと思います。

2 授業案作成グループワーク

(小学校班のグループワークの様子を、話の内容ごとにまとめてお伝えします。)
小学校テーマ:「なにが公平?不公平?」(配分的正義)
 参加者:教員3名、弁護士5名

〈今回のグループワークの方法について〉

 事前に、主催者から「法教育授業案作成のお願い」が各参加者に郵送されていました。「お願い」の内容(配布資料より一部抜粋)

【授業のテーマ】何が公平・不公平?(5・6年生対象、2コマ予定)
 集団の構成員にどのように利益や負担を分けるのが公平なのかを児童に考えさせる授業案(具体的事例、ワークシート、授業台本等)を作成してください。A4用紙1枚程度の簡単な骨子でも結構です。
【法教育的視点】
「頭数に応じて全員に対し均等に割り振る」分け方(当番制、割り勘など)や、「偶然に頼る」分け方(ジャンケン、くじ引きなど)以外にも、「一人ひとりの事情に応じて異なる扱いをする」という分け方が、必ずしも不公平とは言えない場合があります。いくつかの具体的な事例を通じて、公平・不公平について考えさせます。
【授業の目標】
1)公平とは、利益や負担の分け方の問題であることがわかる。
2)全員に同じだけを分けることが常に公平に適うわけではなく、分けようとしている仕事を、
① 必要としている程度の大小(必要性)
② ものを活用する力や仕事を行う力の大小(能力や適性)
③ ものに対する貢献の程度や仕事に対する責務の程度の大小(貢献や責務)
という3つの「ものさし(判断基準)」を考慮して、分け方に差をつけることが、必ずしも不公平とは言えないことを理解する。
3)上の3つの「ものさし(判断基準)」を用いて、身のまわりの具体的な問題を公平に解決するための意見をもつことができる。
【法教育的視点】
 「法の下の平等」を定めている憲法14条は、合理的な根拠に基づいて法律で差を設けることは認められる(合理的区別)との解釈が採られています。公平・不公平の問題は、実社会や憲法とも関連するテーマといえます。
【授業案の例】
 1コマ目に、利益や負担を分ける場面において、公平・不公平の問題が生じることを気付かせる。「一人ひとりの事情に応じた分け方」が必ずしも不公平とは言えないことを理解させる。その際、3つの「ものさし」があることを気づかせる。
 2コマ目は、身近で具体的ないくつかの事例について、1コマ目で学んだ3つのものさしを用いて判断させ、自分の意見を述べさせる。

 

教員1:「参加申込みのとき、授業案を作成するというテーマだったので、今日、弁護士の先生方と一緒に一から授業案を作成するのかと思っていたら、10日ほど前に、日弁連から授業案を作ってきてほしい旨郵送され、違和感がありました。」

〈授業案の作成方法について〉

教員1:「法教育を単発のイベント的に終わらせないために、この授業を社会科の中に位置付けたいと思いました。今回は高学年ということで、憲法の基本的人権の尊重に関する授業全2時間のうちの2時間目としたいと思います。」
  「事前の授業案の例では、必要・能力・貢献の3つの判断基準を1時間目に紹介するようになっていますが、自分なら、最初から3つのものさしがあるとは絶対言いません。子どもに気づかせ、子どもから出てくるのが、いい授業です。能力の事例で1時間。その最後に、「~があったね」と確認します。3つのものさしの全部をするなら、3時間ほしいと思います。1時間目に、弁護士の方はこの3つ全部をどうやって紹介するのか、知りたいと思います。」
弁護士:「私たちもそこが知りたいと思います。子どもたちに理解させるプロセスが大事なのですね。時間の制約が課題となりそうです。」

〈教員からの授業案検討〉

教員からの授業案(1)概要

6年生「社会」基本的人権の2コマ目「合唱コンクールのピアノ奏者の決め方」
導入:人権の復習
展開:クラス対抗合唱コンクールにおける、クラスのピアノ奏者の決め方はどれがよいか考える。(憲法14条「平等権」について考えさせる。)
①A…機会としての平等を選ぶ決め方(ジャンケン)
 B…能力や努力としての平等を選ぶ決め方(曲を弾かせてもっとも能力の高い子を選ぶ)
 C…能力や努力を加味して、機会としての平等を選ぶ決め方(演奏するのは1年間の行事毎の演奏機会を通算して1人1回限りとする)
 まずA~Cについて5段階で評価させ、自分の考えをワークシートに書かせる。
 次に、自分の考えの理由を話し合わせ、友達との感じ方の違いを理解させる。
②実社会ではどうなっているか考える。(コンサートに出演するピアニストの決め方)
 自分の最初の判断が揺さぶられ、再吟味し始められるとよい。
③最終の自分の考えをもつ。 
 最初と同じでも、理由にふくらみが出るとよい。

 

弁護士:「問題の立て方が難しい事案だと感じました。合理的区別とは、一定の目的にふさわしい形で、区別をつけることです。この事案では、目的に教育的配慮が出てくるのが難しいところです。現実とはそのように複合問題的だとは思いますが、もう少し単純に、クラスの目的を1つに決めておくとやりやすいと思います。」
教員1:「6年生ですと、単純化すると最初から答えをもってしまいます。リアリティがないと、授業に全然のってきませんし、物語にしてしまうと社会科でなくなってしまいます。社会にはいろいろな考え方があるけれど、子どもたちはその中で生活しているということを理解してほしいと思います。」
教員2:「学校内は、必ずしも実社会のように法によって物事を見ていくのではなく、教育的配慮が必要ということもあります。」
弁護士:「伝えたいものから事例を考えると、子どもはのってこないのですか?」
教員1:「そんなことはないと思いますが。現実社会の事例でないと、ニュースでもいいですが、道徳になってしまいます。道徳や特別活動だと、単発になりがちです。」
教員3:「こちらが伝えたい価値だけで授業をつくると、子どもの生活と離れてしまうと思います。以前、『教室から学ぶ法教育』にある輪番制の掃除当番の事案 を授業にしたことがありますが、話し合っただけで終わりになりました。当たり前のことなので、子どもの考えが変わらなかったのです。」
弁護士:「ピアノ奏者の最終的決定者は誰がするのですか?クラスが紛糾しませんか?」
教員1:「当事者がクラスにいるような身近すぎる例は取り上げません。一般の6年生として取り上げます。決定権は、その後の人間関係を考慮し、教師にあるという前提です。」

教員からの授業案(2)概要

「みんなで○○な学校をつくろう」全3コマ
目標:必要・能力・貢献の3つのものさしを理解すること
展開:新しい学校をどんな学校にしたいか、委員会活動を通して考える
①どんな学校にしたいか、みんなで目標を決める。
②①で決めた目標に向け、委員会活動の枠組みの中で、誰が何委員会をするか考える。
 紙芝居「なぜ俺がするの?」「私たちばかり」「しょうがないでしょ、高学年だから」を使う。
③委員会活動の内容を、3つのものさしを使って考える。
 1年生なりにできる仕事は何かなど。

 

教員3:「本校は開校して2年目です。公平・不公平を考える土台がほとんどないところに、3つのものさしに視点を絞った課題が与えられたので、ハードルが高いと思いました。学校や実社会で、あてはまることがないかと考えました。評価の観点では、指導する側が「これは能力」などという意識をもっていればいいと思います。以前の授業で、子どもから概念が出てきたときに(板書に)札を貼ってあげたことがありますが、言葉が難しくて、腑に落ちない様子だったことがあります。」
弁護士:「②で、「何が公正か」から始めるより、「何が不公正か」から始める方がわかりやすいと思います。それを法教育につなげるには、感情にとどまるのではなく、「ではどうしたら公正になるか?」と考えさせたいと思います。概念を言葉で示すのがいいのかは、考えさせられます。」
教員3:「子どもは価値づけ・意味付けを弁護士にしてもらえば、喜びます。自分たちの学習が社会につながると評価された嬉しさです。」
教員1:「新しい学校には、いい授業だと思います。委員会活動が定着している学校では、あまり必要がないかもしれません。」

〈まとめ〉

弁護士:「教員と弁護士の考え方のギャップが明らかになったと思います。何もないところから一緒に授業をつくった方がいいかもしれないと思いました。」
  「3つのものさしは競合するのではなく、どれを使うかという話になることが多いので、3つのうちどれを使いますか、という教材を考えるといいかと思います。」
教員1:「単純化と複雑さの兼ね合いをどうつけようか、いつも悩みますが、1つのポイントだと思います。授業づくりの際、どうすれば討論が盛り上がり、考えも深まるかということを常に考えています。弁護士と教員はお互い素人と玄人のところがありますから、何もないところから一緒に教材をつくることが大事だと思います。」

3 グループワーク報告と全体意見交換

(小学校班の報告は割愛させていただきます。)
中学校テーマ:「どうやってもめ事を解決すればいいの?」(私的紛争解決)

【授業の目標】(配布資料より抜粋)
1)いろいろなもめ事が社会生活を営む上で不可避的に生じてしまうことを、体験的に気づかせる。
2)もめ事を解決するための前提条件として、
 ①よく相手の話を聞くこと(事実関係の確認の必要性)
 ②それぞれの事情から、どのような解決方法が適切なのか(より有効な他の選びうる手段の存在)について、体感・理解させる。
3)このようなもめ事の解決方法の多様性から、社会一般に存在する紛争解決制度について理解させる。

 

〈各班より報告〉

(1)中学校1班:教員4名+弁護士
 教員の作成した事案は、「放置自転車」「吹奏楽部の演奏がうるさい」「バス停の待ち方の迷惑」「体育館のクラブ活動での利用回数」についてでした。主催者側は、「対立する2当事者間の紛争解決」事案を想定していたのですが、ふたを開けてみると全く想定外の「集団のもめ事の解決」事案が持ち寄られました。なぜなら、「社会科ではみんなで話し合うことが大事。2人だとプライバシーの問題などがあるので、取り上げない。」ということでした。「調停には、win-win という視点もある。」という提案には、総論賛成でしたが、授業で実践するのは難しいと感じられるようでした。

(2)中学校2班:教員5名+弁護士
 「学校のトイレ掃除」「マンションのペットのトラブル」「給食のおかわり」「学校のグランドの使い方」の事案が出されました。目標3つを1つの授業にするのは難しいということで、目標の3)は省きました。ワークシートについては、「穴埋めでは意味がない。思考の流れが後からわかるものがよい。メモすることにより、理解が深まるというものもよい。」ということでした。

(3)中学校3班:教員3名+弁護士
 授業案が出されなかったので、事例を全員で最初から考えましたが、結果的に理想的な形で作成することになりました。身近な問題だと道徳的過ぎるという意見もありましたが、そこへ落ち着くことになりました。学校の問題は個人攻撃になりそうということで、社会の問題を取り上げました。1対1の問題か、多数当事者かという点については、1人の生徒の意見に勝ち負けが左右されるのを避けるため、複数当事者を立て意見交換をすることになりました。
 1コマ目は、身近な紛争例と解決方法を生徒が1人ずつ発表しますが、まとめはしません。次に、教師設定の「マンションのトラブル事例」について、4人の当事者の事情を考え、解決手段がいくつかあるがどれがいいか、というところから始めます。話し合いで解決となった場合、話し合いのルールを決めます。4当事者の意見を聞いて、代替案を発表します。2コマ目は、代替案の話し合いを行います。その後に、紛争解決制度の紹介、ルールづくりをする、などの案が出ましたが、「紛争解決制度を利用するのではなく、自分たちで解決する能力を身につけさせるのが法教育ではないか?」という意見が出ました。

4 日弁連モデル教材の解説とDVD上映

(1)私的紛争解決教材解説
  遠藤俊弘 市民のための法教育委員会委員
 「ここで紹介する教材は、現場の先生に見ていただいて、実践したものです。小学生向けの『もめ事の解決』教材は、全2コマで「マンガ本の貸し借りをめぐるトラブル」の模擬調停をするものです。話し合いによるwin-win の解決があることを知ってもらいたいと思います。中学校のグループワークでは、『一本道の解決案ではなく、多様な案が出る例はどうか』という意見も出ていました。」

(2)配分的正義教材解説
  野坂佳生 市民のための法教育委員会副委員長
 「小学生向けの『公平・不公平』の教材は、全2コマで、配分的正義のものさしを理解し、それを使って解決するという構成です。日弁連作成の授業案は、この構成が多くなっています。「たこ焼きの兄と弟への配分」(必要性)、「新しい絵筆の兄と弟への配分」
能力)、「もらったメロンの姉と妹への配分」(貢献)事案によって、ものさしを理解してから、体育館の使い方を考える教材例があります。
 「必要性」は、福祉国家的考え方。「適格性」は、CO2排出量と負担の関係などの例が考えられます。4つ目のものさしは「地位」(ある程度の時間的継続がある)、5つ目は「位置」(短時間のもの、並んだ順など)です。ものさしの目盛りは粗くてもいいから、汎用性の高いものさしを獲得してもらいたいと思います。ちなみに目盛りが細かいのが法律といえます。
 現場の先生からは、最初の3つのものさしは子どもから出ることは出るが、それを子どもが必要として出てきたのでなければ、身につかないのではないかと言われました。1コマ目を省き、いきなり2コマ目の授業をして、評価の段階でものさしを出す方がいいかもしれないとのことでした。委員会でも検討したいと思います。」

〈取材を終えて〉

 今回は、現場の先生方と弁護士の協働による教材作成の現場をお伝えすることになるものと予想していましたが、グループワークを拝見したり報告を聞いたりして、作成前の段階が重要であると改めて感じられました。小学校班の話し合いからは、授業の構成について、現場の先生と弁護士のもっている感覚のすり合わせが必要なことがわかりました。中学校班の話し合いからも、紛争解決事例1つにも、2当事者間を扱うか集団のもめ事かというイメージの違いがあるとわかります。両者の感覚の違いは、「理解のプロセスが大事であること」、「現場に無用の対立を生まないこと」など、学校現場で実際に子ども達を指導する経験から得られた知見が共有されていないことに原因がありそうです。今回の話し合いからその点が明らかになったことは、大変有意義なことだと思います。
 まずは、現場の先生方と弁護士が意見交換をし、授業を協働してつくっていく取組みを一層進展させることが大事だと感じました。

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