‘対談 「法学教育」をひらく’ カテゴリーのアーカイブ

「法学教育」をひらく(第5回) 西原博史先生・仲道祐樹先生 その1

〈著書と著者のご紹介〉

大村:「西原博史先生は早稲田大学社会科学部教授で、憲法をご専門にしておられます。著書には『良心の自由』(成文堂 1995年、増補2001年)、『平等取扱の権利』(成文堂 2003年)、『良心の自由と子どもたち』(岩波新書 2006年)などがおありです。今回は『うさぎのヤスヒコ、憲法と出会う』(太郎次郎社エディタス 2014年)に関するお話を伺います。
 仲道祐樹先生は早稲田大学社会科学部准教授、刑法がご専門です。著書に『行為概念の再定位』(成文堂 2013年)がおありです。『おさるのトーマス、刑法を知る』(太郎次郎社エディタス 2014年)は、『うさぎのヤスヒコ、憲法と出会う』とともに「なるほどパワーの法律講座」シリーズを形成しています。
 『うさぎのヤスヒコ、憲法と出会う』『おさるのトーマス、刑法を知る』は読者に小学生を想定している点で他に例を見ないものになっています。この2冊は独立に書かれたのではなく、シリーズとして明確なコンセプトに基づいて書かれました。内容はかなり高度で、異色の法学入門として大学生が読んでも得ることが多いものになっていると位置づけられると思います。」 続きを読む…

「法学教育」をひらく(第4回) 髙橋眞先生 その2

4 本書第1章の「日本近代史(戦後史)入門」としての意義


大村:
「日本的法意識論についてはその後、別の合理的な理由があるという観点から議論がされ、歴史的な展開の説明には向かわなかったといえますが、日本人が権利を主張しないことについて、髙橋先生が提示された考える筋道は、日本社会の推移、そこに働いていた力を取り出すという方向になっていると思います。それが法について考える際、基礎として意義があるのではないかと考えます。社会の動き方とそれに影響を与えている事情との関係で、法がどのようになっているかという意識が強いアプローチだと思います。先生ご自身、そう意識されてのことかお伺いしたいと思います。」 続きを読む…

「法学教育」をひらく(第4回) 髙橋眞先生 その1

〈髙橋先生のご紹介〉
大村:「今回は髙橋眞先生にお話を伺います。髙橋先生は民法学者で、現在は大阪市立大学教授です。御著書には、債権総論や担保物権法の教科書のほか、『安全配慮義務の研究(正続)』、『求償権と代位の研究』、『損害概念論序説』、『抵当法改正と担保の法理』などがおありです。1988年から98年まで10年あまり、京都大学教養部(のちに総合人間科学部)助教授として、教養教育の経験をおもちです。」 続きを読む…

「法学教育」をひらく(第3回) 仲正昌樹先生 展望編2

展望編1からのつづき

〈基礎法学の果たすべき役割〉

大村:「今のようなことは、法学部の学生には敷居が高いことだと思います。実定法の勉強より難しいかもしれません。先生の現在の御担当は政治思想史ですね?私は法学部の中に政治学があることを積極的に考えさせる方がいいという立場ですが、政治学に限らず基礎法的なものも法学部の中に存在している。先生がおっしゃるようなことは実定法学者が扱うには荷が重いところがあります。実定法以外の人々が果たしうる役割はどういったものとお考えですか?」 続きを読む…

「法学教育」をひらく(第3回) 仲正昌樹先生 展望編1

現状編からのつづき

〈法について〉

大村:「(今日のお話の)最初の方で言われた、哲学者の考える法と、法学者の考える法に落差があるということに結びつくことが何かありますか?」 続きを読む…

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